Universe III

ユニヴァースIII(スリー)

 2018 年、メロディック・ロック・ファンを驚かせた再結成があった。80 年代半ばの 85 年にセルフ・タイトル・アルバムをリリースし、惜しくもその 1枚のみで解散したものの、マニアの間では隠れた名盤として評価されていたスウェーデンのバンド UNIVERSE が、33 年振りに UNIVERSE INFINITY と名前を変えて復活。実質セカンド・アルバムとなる「Rock Is Alive」をリリースした。メンバーはヴォーカリストがアンドレアス・エクルンドに変更した以外はミカエル・クリング(G)、ペル・ニルソン(G)、ハッセ・ハグマン(B)、フレドリック・クリシュトロム(Keys)、アンデルス・ヴェッターシュトロム(Ds)という以前のラインナップで復活。30 年以上の時を経て洗練された部分はあるものの、デビュー作で見せた北欧ならではの哀愁を感じさせるメロディは相変わらず健在だったことから、ファンを大いに喜ばせた。アルバムをリリース後、バンドは断続的にライヴを行いつつ、並行して次作への曲作りをしていることを SNS で報告。バンド活動は順調に進んでいたと思われた。しかし世界がコロナ・パンデミックの最中の 2021 年夏頃を境にバンドの情報更新が止まってしまい、誰しもが自然消滅してしまったかと思われた。しかしその一方で 2022 年夏、ひっそりと UNIVERSE III というバンドが結成され SNS アカウントも作成されていた。何を隠そうこの UNIVERSE III はUNIVERSE INFINITY が新しい形で復活したバンドであった。この復活に際してバンド名が再度変化した以外に大きく変化したのは UNIVERSE 結成の中心人物であったミカエル・クリングの名前が消えていた点である。UNIVERSE INFINITY が活動を停止した理由と関連するかと思われるが、現時点で詳細は不明。ともかくバンドは UNIVERSE III として新体制で活動することを選んだのである。2022 年夏の発足以降はライヴ活動をしつつ、新曲のレコーディング風景を定期的に公開。新作の完成が近づいていることを示唆していた。そして 2024 年春、実質の 3 作目となる新作が遂に完成し世界に発表されることとなった。メンバー・チェンジやバンド名の変更があっても、デビュー作から続く変わらないアティチュードと魂が込められたこの作品は、メロディ派のファンを満足させることが出来ること間違いなしの一品である。(2024年5月1日更新 - アルバム『ユニヴァースⅢ』について)